巨星墜つ「マカオのカジノ王」スタンレー・ホー氏 死去

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スタンレー・ホー氏 スタンレー・ホー氏
スタンレー・ホー氏が亡くなった。1921年11月25日生まれ、享年98歳。
スコットランド、オランダ、中国の血が流れる気品に溢れる容姿を持って、中国語、英語、日本語、ポルトガル語と4つの言語を使いこなす。
香港の裕福な家庭で13人兄弟の9番目として生まれるも、13歳の時に父が多くの資産を失って蒸発。2人の兄が自殺し、残された2人の姉と母親で住む家に困るほどの貧困生活を送ることになり、この経験から金持ちになることを目指す。
第二次世界大戦の中、単身でポルトガルの植民地であった中立国のマカオへ移り、貿易会社で働くようになる。日本軍の巡視船に加えて、武装した中国ゲリラ船や海賊が略奪や殺人を繰り返す海域で身体を張って活躍。その勇敢な姿は周りに高く評価され、仕事において成功の道を進んでいく。この頃に得た資金を元に、エネルギー関連や建設関連の会社を設立していき、事業家スタンレー・ホー氏が誕生した。
終戦後も香港を拠点に様々な事業を手掛け、着実に成長を続け、1962年にはマカオのギャンブル権を獲得する。
観光客誘致のため、「リスボアホテル」などカジノホテルを建設、港や空港の整備、香港とマカオを結ぶ高速艇(Turbo JET)など交通インフラまでも開業させる。その後もマカオで、娯楽、観光、船舶、不動産、銀行…など、様々なビジネスを展開、成功させて「マカオのカジノ王」と呼ばれる。
スタンレー・ホー家系図
プライベートでは、4人の妻と17人の子供を持ち、長男のロバート・ホー氏(Robert Ho Yau Kwong)を後継者として認めようと考えていたが、1981年に自動車事故で亡くしてしまう。
2012年から後継者を巡る法廷闘争が繰り広げられるようになり、一度は収束するも、2019年には第二夫人の長女となるパンジー・ホー氏が実権を握る形となって、後継者問題は基本的に収束する。

グランドリスボアパレス模型
スタンレー・ホー氏は、自身が最後に手掛けるカジノ施設として、「Grand Lisboa Palace」を2017年に開業させようと楽しみにしていた。
過去最大規模の大型建築物となる「Grand Lisboa Palace」は、建設工事が難航して開業は2020年末以降となってしまう。
開業を楽しみにしていたスタンレー・ホー氏の想いは届かなかった。
マカオがポルトガルから中国に返還された2年後の2001年、マカオにおけるカジノ経営の独占ライセンスを手放すことになった際も、私利私欲を捨て政府への支援を行なったスタンレー・ホー氏こそ正にマカオの「カジノ王」なのである。

※スタンレー・ホー氏の人物像はコチラから!!
スタンレー・ホーとは何者か?

カジノジャパン編集長
1968年東京生まれ。高校生時代にテレビゲーム雑誌の老舗「ファミ通」編集部でアルバイトをはじめる。
株式会社角川書店に就職して数々の雑誌編集、ゲーム開発、映像制作などを手掛ける。株式会社ゲームフリークへ転職した後に独立。出版やIT事業など、様々な事業を手掛けた後、タイやベトナムなどアジアを中心とする海外生活をスタート。
2015年にニュージーランドから日本へ帰国、2016年より『カジノジャパン』の編集長に就任する。
『カジノと日本経済』(宝島社)など、カジノ専門誌や数々の雑誌、ネット媒体にカジノに関することを執筆しつつ、IT事業やカジノ関係のコンサルティングなども手掛け、世界各国を飛び回っている。

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